在留資格「留学」は、2010年に従来の「留学」「就学」が一本化されており、法務省の定める活動の定義としては、以下の通りとなっております。

本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動。該当例としては,大学,短期大学,高等学校,専修学校等の学生

これから日本に留学する外国人の場合、新規の入国の手続きや留学ビザの更新手続きは受け入れ大学や各種学校が行うことが多いので、学生課などに問い合わせてみてください。
ここでは、小中学校の留学は除いて、「大学、短期大学、専門学校、日本語学校」の留学生に関連した在学中のアルバイト、卒業後の就職について的を絞って解説してみましょう。

留学中のアルバイト

本来、「留学」は就労が認められていない在留資格ですが、「資格外活動許可」を取得することにより、時間制限があるものの、一定のアルバイトが認められています。(風俗営業業種でのアルバイトは不可)
   

【留学:資格外活動許可で可能な就労時間】

通常 週28時間まで

学校の長期休暇期間 一日8時間まで
(週単位で見ると労基法で認められた40時間以内)

複数のアルバイトを掛け持ちしている留学生も多くいると思いますが、1か所で28時間でなく、本人のアルバイト時間の合計で28時間以内にしなければなりません。
留学生をアルバイトで雇用する雇用主も「外国人雇用状況届」をハローワークに届け出ることが義務付けられていること、留学生もマイナンバーによって就労状況が把握されることを考えると、就労時間のオーバーは簡単にバレてしまいますので注意が必要です。

ここで注意すべきは、上記の時間制限を本人のみならず、雇用主も必ず守らなければならないことです。
順守しなかった場合のペナルティとしては、以下のものが可能性としてあるので注意が必要です。

留学生に対するペナルティ

・不法就労にて退去強制 → その後5年間は再入国不可
・就職時における在留資格変更の不許可 → 就職できず

雇用者に対するペナルティ

不法就労助長罪 → 3年以下の懲役、300万円以下の罰金
   

留学後の進路

日本での留学期間が終了した留学生は、在留資格「留学」を失うことになり、続けて日本に在留することを希望する場合は、在留資格の変更の必要が生じます。

様々なパターンが考えられ、それに適合する在留資格を以下、解説してみましょう。

パターン1:企業に就職する

 在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更

 専門知識を生かした就労が前提となる「技術・人文知識・国際業務」では、大学、専門学校の卒業者のみ認められ、日本語学校卒業者には認められません。また、大学卒業者は大学での専攻と業務の一定程度の結びつきがあれば許可される傾向がありますが、専門学校生は専攻と業務の強い結びつきが必要とされます。
また、「技術・人文知識・国際業務」では、単純労働を想定していないため、単純労働をさせた場合、不法就労となるリスクがあるので注意が必要です。

まとめると、以下の通りになります。

大学生 専門と業務の一定の関連性で可
専門学校生 専門と業務の強い関連性が必要
日本語学校生 不可

パターン2:卒業後も就職活動を継続

在留資格「特定活動」へ変更

 3月の卒業までに就職先が見つからず、その後も就職活動を継続したい場合、在留資格「特定活動」に変更する必要があります。
就職活動中の「特定活動」は、当初6か月で1回のみ更新が可能、つまり就職先が決定して就労開始するまで最長1年間は日本に在留することが可能となります。
更に、正式に企業から内定を受け就労を開始する前に、在留資格「特定活動」から就労の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)に変更する必要があります。

パターン3:日本で起業する

在留資格「経営・管理」へ変更

 大学卒業後に日本で起業する留学生も増加傾向にあります。一方で、卒業や就職が危ぶまれるために逃げ場として起業を選択する留学生も少なからず存在しています。入管はこのような逃げ場的起業に対しては厳しい審査を行う傾向にあるので注意が必要です。
創業資金の確保、事業所の確保、事業計画の妥当性などを細かく立証する必要があります。
特に、創業資金をアルバイトで貯めたというのは、学生時代に資格外活動をオーバーしていたのでは?と疑われることもあるので注意が必要です。

なお、大学卒業前後において、起業活動を行っている留学生向けには、在留資格「経営・管理」の取得前のつなぎ的在留資格として「特定活動」が最長6か月与えられることがあります。ただし、この場合においても事業所の確保、事業計画の提出等の審査があります。

パターン4:日本人又は永住者と結婚する

在留資格「日本人(永住者)の配偶者等」へ変更

 学生時代に日本人や日本に居住する永住者と知り合って結婚する留学生も多いです。このような場合は、既に在留資格を身分系の在留資格である「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」に変更することになります。ここで注意すべきは、学生時代の出席率です。出席率が悪く卒業がそもそも危ぶまれる留学生の方が、卒業のタイミングと同時に「日本人の配偶者等」に在留資格へ変更することに対して入管の審査は厳しくなるでしょう。(学校を退学になった場合は更に審査が厳しくなります。)
 身分系の在留資格である「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は就労制限が無くなること、そもそも就労しなくてもいいことなどメリットの大きい在留資格である反面、留学生の国際結婚については一定程度厳しくチェックする傾向があるので注意が必要です。

パターン5:特に有能な人材の場合

在留資格「高度専門職」へ変更

 在留資格「高度専門職」は、学歴の高さ、日本語能力の高さ、年収の高さ、年齢の若さが資格取得に有利に働く傾向があります。例えば、日本の大学院の卒業を予定している、日本語能力試験N1を保有している、30歳未満であるなどのいわゆる「若手エリート」は、一定の年収をクリアすれば「高度専門職」を取得できる可能性が非常に高いです。
 高度専門職は、最短で1年(又は3年)で永住許可の取得の可能性もあり是非検討すべきでしょう。

豆知識 留学生アルバイトを正社員として採用したい!
「優秀な留学生アルバイトをそのまま卒業後に正社員として雇用したい。」このようなニーズも多いことかと思います。
ここで問題となるのが、卒業後の在留資格です。留学生は資格外活動として単純労働が認められている一方で、卒業後の就労系の資格では単純労働が認められていないものが殆どであることです(「特定技能」は例外として)。
例えば、大学へ通う留学生アルバイトを卒業後に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で雇用しようとすると、この在留資格は、そもそもホールでの接客などを想定していないため、ホールでの接客→不法就労となってしまいます。
このように、在留資格でどこまでの業務が認められるかをしっかり確認して、正社員採用を進める必要があります。
ただし、2019年4月から新設された在留資格「特定技能」の導入により、一定程度の日本語能力と技術試験に合格すれば単純労働分野でも就労が可能になっております。特に、日本語学校の学生からの在留資格の変更なども想定されており、今後の動向に注視が必要でしょう。在留資格「特定活動」の導入により、今後、留学生の卒業後の進路も柔軟化することになるでしょう。

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